SKEソロコン1日目夜 水野愛理は何がすごかったのか
2016年の今、「10分の使い方」を考えた時に、僕が
「理想の10分間の使い方」
として思い浮かんだのは、オリエンタルラジオの
「PERFECT HUMAN」
でした。
オリエンタルラジオは、「武勇伝」でブレイクしてから長い時間をかけて、RADIO FISHとして「PERFECT HUMAN」を作り上げました。
初めに「武勇伝」を披露し、その後「PERFECT HUMAN」へ転調する形は、完成された素晴らしい流れです。
「PERFECT HUMAN」が始まると、観客は戸惑いと驚きを見せます。なぜなら、今までになかった新しいことが起きているからです。
だがどうでしょう、結局観客は笑うのです。「武勇伝」とは一転した場違いなかっこよさ。熱唱する藤森慎吾。突如現れたダンサーたち。
違和感に笑いが生まれたのもつかのま、サビの直前、振り返った中田敦彦が首を傾げてこう言うのです。
「I'm a Perfect human」
ああ、そういうことか。
「あっちゃんカッコイイー!!」「シャッキーン!!」
武勇伝とオチ一緒じゃん!!
観客はカタルシスを味わうわけです。
やっぱりオリエンタルラジオだ。そう思い、笑うんです。
さて、それを今回のSKEのソロコンサートに当てはめてみると、水野愛理のステージがよくできていたと思います。
水野愛理のキャッチフレーズは、
「水の中に愛がある!探してきてー!(ぶくぶく)溺れちゃえ!」
というものです。
これって、アイドルとしては「無い」じゃないですか。
キャラだなんだといっても、誰しもが気にしてはいることのはずなんです。
水野愛理は、それを利用した。
一人だけの、10分間のステージ。
一曲目が、
「それでも好きだよ」
この曲は、大サビ前で「私のことが良いって言う人だって…」に対して観客が
「いるううううううううううううううううううううう!!!!!!!」
と叫ぶのです。なんというカタルシス。水の中に沈められた俺たちが、愛理に愛を叫ぶ。カタルシスが、水野愛理のアイドル性を引き立たせる。
自身のキャッチフレーズを「武勇伝」に、「それでも好きだよ」という「PERFECT HUMAN」を成り立たせるのです。
限られた時間で表現する、自分にしかできないこと。そして自分がやりたいこと。それを高いレベルで完成させた水野愛理のステージは、最高に素晴らしく、輝いたものだった。
「それでも好きだよ」の指原莉乃、「シンクロときめき」の渡辺麻友、「わるきー」の渡辺美優紀。
水野愛理はアイドルとして、彼女たちに負けずとも劣らない逸材であるに違いない。